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透析中から頭痛、終わっても続く倦怠感や吐き気…。そのつらさ、ダイアライザーの膜が関係しているかもしれません
透析中から頭痛、終わっても続く倦怠感や吐き気…。そのつらさ、ダイアライザーの膜が関係しているかもしれません
「透析が終わったのに、しんどくて何もできない」
そんな経験はありませんか?
透析の途中から頭が痛くなる
透析が終わっても吐き気が続く
帰宅しても強い倦怠感で横になっている
透析の翌日まで疲れが残る
もう何年も続いているので、仕方がないと思っている
透析を受けている患者さんの中には、このような症状を抱えながら治療を続けている方がいらっしゃいます。
しかし、そのつらさは本当に「透析だから仕方がない」のでしょうか。
今回は、あまり知られていないダイアライザーの膜の違いという視点から、透析中や透析後の体調不良について考えてみたいと思います。
1.透析後の頭痛や倦怠感は、なぜ起こるのか?
血液透析では、血液中の老廃物や余分な水分を取り除きます。
その過程で、身体の水分量や電解質、血圧などが変化します。
透析中や透析後の頭痛、吐き気、倦怠感には、以下のような要因が関係していることがあります。
透析中の血圧低下や血圧変動
除水量や除水速度
電解質や血液中の浸透圧の変化
貧血や栄養状態
透析液や透析条件
ダイアライザーと血液との相互作用
これらの要因は一つだけとは限らず、複数が重なっていることもあります。
重要なのは、症状の原因を決めつけず、患者さん一人ひとりの状態に合わせて考えることです。
2.実は、透析に使う膜にも種類があります
透析で使用するダイアライザーは、血液を浄化するための医療機器です。
内部には非常に細い中空糸が多数入っており、その膜を介して老廃物や余分な水分を除去しています。
この膜には、さまざまな素材が使われています。
代表的なものとして、
PS膜(ポリスルホン系膜)
広く使用されている透析膜の一つで、老廃物の除去などに優れた特性を持っています。
PMMA膜(ポリメチルメタクリレート膜)
膜への物質吸着という特徴を持ち、通常の透析による拡散や濾過とは異なる除去特性があります。
それぞれに特徴があり、どちらか一方がすべての患者さんに優れているというわけではありません。
ただし、膜の素材や表面特性の違いが、血液との相互作用や患者さんの自覚症状に関係する可能性は研究されています。
3.PMMA膜と透析患者さんの自覚症状に関する研究
PMMA膜については、患者さんの栄養状態や透析に伴う自覚症状に注目した研究が報告されています。
2018年の多施設研究では、PS膜を使用していた患者さんを対象に、PMMA膜とPS膜の比較が行われました。
その結果、PMMA膜群では、一定期間後に透析に伴うかゆみの改善などが報告されています。一方、主要評価項目であるCRP値には、両群間で有意な差は認められませんでした。[1]
2021年には、高齢の透析患者さんを対象に、PMMA膜と栄養状態、透析に関連する自覚症状を検討した多施設研究が報告されています。
この研究では、疲労感、頭痛、透析中の血圧低下などを含む症状が評価対象となっています。[2]
さらに2022年には、PMMA膜の一種であるNF-Uを使用した高齢透析患者さん10名について、栄養状態や患者さん自身が感じる症状を後方視的に検討した研究が発表されました。
この研究では、PMMA膜への変更後に疲労感を含む自覚症状の改善が報告されています。 [3]
ただし、いずれも対象者数や研究デザインに限界があり、PMMA膜への変更によってすべての患者さんの頭痛、倦怠感、吐き気が改善することを示したものではありません。
また、症状の改善が膜のどの特性によるものなのかも、十分に解明されているわけではありません。
4.透析の評価は、検査数値だけで十分でしょうか?
透析治療では、血液検査の結果や透析効率、除水量などが重要です。
しかし、私たちはもう一つ、大切にしたいことがあります。
それは、透析を受けたあとの患者さんの生活です。
透析が終わってから仕事に行ける。
家に帰って家族と食事ができる。
趣味や外出を楽しめる。
透析翌日も、できるだけ普段どおりに生活できる。
こうした日常生活の質(QOL)も、透析治療を考えるうえで欠かせない視点です。
血液検査の数値が安定していても、患者さん自身が強い負担を感じている場合があります。
だからこそ、医療スタッフには数値だけでなく、患者さんの声にも耳を傾ける姿勢が求められます。
5.「透析だから仕方がない」と諦める前に
透析中から頭痛がする。
透析後も吐き気が続く。
強い倦怠感で、帰宅しても動けない。
もし、このような症状が続いているのであれば、一度、主治医や透析スタッフに相談してみてください。
血圧や除水条件を確認することはもちろん、必要に応じて使用するダイアライザーの種類や透析方法について検討することもあります。
ただし、ダイアライザーの変更がすべての症状に有効なわけではなく、医学的な判断が必要です。
大切なのは、つらさを我慢し続けるのではなく、何か見直せることがないか、一緒に考えることです。
6.透析の先にある生活を大切に
私たちが大切にしたいのは、透析を受けている時間だけではありません。
透析が終わったあとの時間も、患者さんにとって大切な生活の一部です。
なかじま内科クリニックでは、患者さん一人ひとりの生活背景やご希望にも目を向けながら、透析治療についての相談をお受けしています。
「透析を受けるために生活する」のではなく、
「自分らしい生活を続けるために透析を受ける」。
そんな考え方を大切にしていきたいと思っています。
透析中や透析後の頭痛、吐き気、倦怠感などでお困りの方は、まずは主治医や透析スタッフに症状を伝えてみてください。
参考文献
[1] The clinical evaluation of novel polymethyl methacrylate membrane with a modified membrane surface: a multicenter pilot study.
Renal Replacement Therapy. 2018.
PS膜とPMMA膜を比較し、炎症指標、栄養関連指標、透析に伴うかゆみなどを検討した研究。
https://doi.org/10.1186/s41100-018-0170-y
[2] Masakane I, et al. Clinical advantages of a newly launched anti-thrombotic PMMA membrane for the nutritional status and dialysis-related symptoms in older chronic dialysis patients: a multicenter pilot study.
Renal Replacement Therapy. 2021;7:31.
高齢透析患者さんにおけるPMMA膜と栄養状態、疲労感、頭痛、透析中の血圧低下などの自覚症状を評価した研究。
https://doi.org/10.1186/s41100-021-00351-x
[3] Chida T, Igarashi H, Masakane I. New polymethylmethacrylate membrane, NF-U, improves nutritional status and reduces patient-reported symptoms in older dialysis patients.
Renal Replacement Therapy. 2022;8:11.
高齢透析患者10名を対象に、PMMA膜への変更後の栄養状態と疲労感などの自覚症状を後方視的に検討した研究。
https://doi.org/10.1186/s41100-022-00400-z
なかじま内科クリニック
大阪市東成区・深江橋
夜間透析・オーバーナイト透析・長時間透析に対応しています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の透析膜や治療法の効果を保証するものではありません。治療内容については主治医にご相談ください。突然の激しい頭痛や意識障害などがある場合は、速やかな医療評価が必要です。
発熱で受診される方へ
当院では発熱のある患者様は、事前にお電話にてお問い合わせください。院内患者様への感染拡大防止のため、ご連絡なしのご来院はお控えください。なお、コロナやインフルエンザの検査は随時、行っております。ご理解、ご協力のほど、宜しくお願いいたします。

